- 片麻痺での上着の着替え方
- 更衣動作は、衛生的な管理だけでなく「着替えをして外出をする」「脱衣をして入浴する」などの動作をするきっかけとなる大切な行為です。
しかし、脳血管障害患者にとっての更衣動作は、日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)のなかでも困難性の高い物です。
- 着衣方法
- 片麻痺患者の一般的な上位着衣の手順は、前開きタイプの服もかぶりタイプの服も、麻痺側上肢から袖を通し、次に健側上肢と頭を通していく方法が基本です。
- 前開きタイプ
-
- 袖の入口を広げ麻痺側より入れる
- 袖は肘でとめておかずに肩まで上げる

- 健側の袖を通す
- 完了
- かぶりタイプ
-
- 袖の入口を広げ麻痺側より入れる(前開きタイプと同様)
- 袖は肘でとめておかずに肩まで上げる(前開きタイプと同様)
- 健側の袖を通す
- 頭を通す
- 完了
- 脱衣方法
- 上位の脱衣は、基本的には着衣時とは逆に健側の上肢から脱いでいく方法が一般的です。
- 前開きタイプ
- 健側の上肢から脱いでいきます。


 布地の伸縮性や、肩幅・袖ぐりなどの大きさによって、上記の手順では困難な場合があります。
そのようなときは、下の写真のように頭の上からうしろ襟ぐりを引っ張って脱ぐ方法もあります。

頭の上からうしろ襟ぐりを引っ張り、脱いでいく方法も有効です。
- かぶりタイプ
- 頭のうしろからうしろ襟ぐりを引っ張り、脱いでいきます。


●介助のポイントとして、@安定した坐位環境をつくる、A適切な順序で行う、B自分でできることはなるべく自分で行う、などがあげられます。
●活動着と就寝着を朝晩に着替えるなど、1日の生活リズムを意識するように介助することで、メリハリがつきQOL(Quality of Life:生活の質)が高まります。
- 片麻痺での下衣(ズボン)の着替え方
- 麻痺がある人の下衣(ズボン)の着脱は難しい動作の1つです。とくに立位バランスが低下している人では注意が必要です。
下衣の着脱は「立つことができる場合」と「立つことができない場合」で方法が変わります。
- 立つことができる場合
-
- 麻痺側の足が健側の足の上にくるように組む
- 麻痺側の下肢からズボンを通し、その後、麻痺側を床に下ろし、健側を通す(ズボンの裾をたぐっておくとはきやすい)

- 立位でウエスト部を引き上げる
●組んだ脚が落ちる場合は、健側踵を上げる、または10cm程度の題を使用すると落ちにくくなります。


●おしりを左右交互に浮かしながらズボンを上げていく方法もあります。

- 立つことができない場合
- ベッドよりも、少し固めの床のほうが着替えやすくなります。
端坐位が可能で、立位のみ困難な場合も同様の方法で行うと安全です。
- 脚を広げて座り、麻痺側の脚にズボンを入れていく
- 健側の足をズボンに入れ、裾から両足が出て、ズボンのウエスト部が大腿(太もも)の所まであがったら仰向けに寝る
- 健側の脚と背中で踏ん張り、腰を浮かせてズボンを引き上げる
- ズボンを脱ぐとき
- ズボンを脱ぐときは、「立つことができる場合」「立つことができない場合」のどちらも、はくときの逆の順序になります。
しかし、寝たままで脱ぐときは、下の写真のように、健側から脱ぎ、片側の足でズボンを押し上げる方法が有効です。
- 着替え中にバランスを崩さない工夫
- 片麻痺のため坐位、立位バランスが低下しまうことがあります。とくに着替え動作中は、店頭のリスクが高くなります。
安全に着替えるために、安定した状態で着替えることが大切です。
- 坐位での注意点
- ソファーや座面の柔らかい椅子で着替えようとすると、バランスを崩しやすくします。
背もたれ、肘掛けの付いた椅子で行う、壁などによりかかって行うと安全です。

- 足を組むとき、前方へバランスを崩してしまう場合
-
- 健側下肢の位置(膝を90°曲げた位置)
- 座面の高さ(高すぎる→足が落ちる、低すぎる→足が組めない)
- 腰掛の深さ(浅いとすべり落ちやすい)
を確認しましょう
- 立位での注意点
- 立位がある程度自立している人は、壁を利用して下衣の着脱を行うと安全です。
健側を壁側に行うのがポイントです。
壁によりかかりズボンを上げる、部屋のコーナーなどを使用して着替えるとさらに安全になります。

●下衣の着脱は立位が可能でも、壁や手すりなどすぐにつかまれるところで行うと転倒のリスクは軽減できます。健側を壁側にして行うのがポイントです。
- ベッドのうえでの着替えを介助する
- ベッド上での着替えの介助は、姿勢や介助方法により介助者が腰痛などを引き起こす危険性があります。
介助者自身の身体や道具をうまく使用し、本人・介助者共に保護されることが求められます。
- 上位の着脱方法
-
- 着脱する側を上にした側臥位にし、上位の袖を脱がせ、新しい服の袖を通します。タオルなどを下に敷いている場合は、タオルの端をつかんで側臥位にするとやりやすいので試してみてください。
- 肩と殿部(お尻)を支えながら静かに仰向けにし、そのまま反対側の側臥位にする。古い服の袖を脱がせ、身体の下から新しい服を引き出し袖を通します。
- 上位着脱のポイント
-
- 袖を通すときは、服の袖をたぐって「迎え袖」にすると行いやすい
- 拘縮が強い場合は、袖をたぐっておき、腕の形に沿わせるように通す
- 身体が仰向けに倒れてしまう場合は、背中にタオルやクッションなどをあてる
- 衣服がきつくて着せにくい場合は、肩の抜きを大きくして行うと着せやすい
- 下衣の着脱方法
-
- 横向きにし、上側にあるズボンを大腿(太もも)あたりまで下ろす
- 肩と殿部(お尻)を支えながら仰向けにする
- 反対側の側臥位にする
- 反対側のズボンを大腿(太もも)あたりまで下ろし、再びゆっくり仰向けにする
- 両膝を立ててズボンを抜く
表面が滑りやすくなっているスライドシートを使用すると、衣服の着脱が行いやすい。スライドシートは持ち手が付いていて、担架の代わりに使用することもできる
- 着衣方法は脱衣方法の逆の手順で行います
-
- 浴衣は着せやすく、介助量が多い場合は有効です。
- 対象者と介助者の距離が遠いと、腰を曲げて行わなければならない、手を遠くに伸ばせばならないなど介助負担が増えてしまいます。なるべく近い距離で行うようにします。
- 低いベッドでは、身体を大きく曲げて行う必要があります。適切なベッドの高さにし、負担がかからないようにします。
- 靴や靴下の履き方
- 靴下や靴の着脱は身体を前に倒し、手を下方に伸ばす必要があり、バランスを崩しやすい動作の1つです。
安定した場所で安全に行うようにしましょう。
- 靴下を履くときのポイント
- 麻痺側の脚が健側の脚の上にくるように、脚を組んで履きます。脱ぐときも同様に脚を組んで行いましょう。肘掛け椅子などに座って、安定した姿勢で行いましょう。
- ゆるゴムタイプの靴下の履き方
- 履き口のゴムがゆるく、着脱が楽な「ゆるゴムタイプの靴下」が市販されています。
便利ですのでお試しください。

靴下の上部に指を入れて開くようにして足指を通す

あらかじめ折り返した状態にしておくと開口部が広がり入れやすくなる
- 靴を履くときのポイント
- 靴下と同様に脚を組んで行います。ひも靴よりベルクロテープ(マジックテープ)の靴のほうが履きやすいので、活用しましょう。靴べらを利用するのもよいでしょう。
玄関に腰掛けを置き、座って着脱できるようにする。靴を取り上げるとき転倒しないよう、リーチャーを利用したり、あらかじめ靴を台の上に置いておくようにするとよいでしょう。
- 着替えやすくするコツ
- 片麻痺があると、着替えの動作が困難になります。
着替えやすくするための服や自助具があることを知っておきましょう。また、ちょっとした工夫で着替えやすくなることもあります。
- 麻痺が重度の場合(筋緊張が高い場合)
 
袖をたぐって通す
- 筋緊張が低い場合
 
膝の上で袖口を広げて入れていく
- 感覚障害が重度の場合
- 感覚障害がある人は「袖に腕が通っているかわからない」などの問題を生じることがあります。
一つひとつの動作を鏡の前で、視覚で確認しながら行います。
- ボタンのかけはずしが困難な場合
- あらかじめボタンを閉めた状態で、かぶりシャツの着脱方法で行います
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